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9月9日(月)の全校朝礼でお話ししたことの一部を紹介します。
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皆さん、おはようございます。
2学期になってから最初の全校朝礼ですね。
今日は「自由研究」の意義についてお話しします。
先週の4日まで夏休みの作品展が開かれていました。各種コンクールに出品する絵画は各教室や廊下に、大小さまざまな工作作品は理科室で展示されていました。
一つひとつが本当に個性的で、力作でした。
作品以外にも皆さんの教室には、絵日記や夏休み新聞が貼られていました。
ここでは1年生から3年生の作品を取り上げてお話をします。
1年生の教室には家族で旅行に行ったこと、キャンプに行ったこと、バーベキューをしたこと、パン作り体験をしたことなどが、色鉛筆を使って絵日記にまとめられていました。どれも上手に書けていました。
2年生の教室には「まちたんけん―夏休み版」が貼られていました。
1学期には小学校の近くを探検し、その成果を発表していましたが、今度は自分の住んでいる町の素敵なところを見つけてくることが課題でした。地元のお寺や神社を取り上げ、丁寧に紹介している作品がたくさんありました。この附属小学校の近くに住んでいるお友達は、小学校の校章を大きく描いて紹介していました。プライドが感じられました。
3年生になると自由研究のレベルと幅がグーンと広がるようで、教室にはポスター形式とノート型の自由研究の成果が展示されていました。
ポスター形式の作品には九州や北海道旅行のこと、伝統芸能や結晶作りを観察したもの、時間ごとに変化していく犬の肉球のにおいのことやセミの鳴く時間と気温の関係について調べたものがありました。
ノート型の作品には実際に集めた岩石の写真や夏野菜の記録、カブトエビの観察、2歳の弟のためにスクラッチで作ったゲームの制作過程をまとめたものなどがありました。またサインペンのインクをにじませ、色が分解していく過程を観察し、「めあて、実験の内容、実験結果、感想、今後の展望」に分けて整理しているものもありました。
まだまだ紹介したいものがありますが、時間に限りがありますのでここまでにします。
この他の作品もみな、本当に力作ぞろいだと思いました。
ではこうした自由研究に取り組むことの意義はどこにあるのでしょうか。
ここではその意義を2つあげます。
その一つ目は、自分の考えをまとめ、表現してみようとする力を養ってくれることにあります。
自由研究には、およそ以下のような決まった進め方があります。
1 テーマを決める(めあて)
2 考えるための材料を集める(実験・観察・見学・収集・調査・工作など)
3 考える
4 まとめる
5 発表する
これらは自由研究だけではなく小論文や研究論文、プレゼンテーションでも使える基本的な流れです。自由研究は大人になっても必要となる力、すなわち自分の考えを表現する力を養ってくれます*。
校長先生のお話もこれら5つの流れに即して作られています。校長先生はこうした自由研究の進め方を40年以上にわたって何度も繰り返し、練習し、しっかり身に付けてきました。ですから「研究者」と呼ばれていました。
自由研究に取り組むことの意義の二つ目は、なにごとにも主体的に取り組む態度を育むことができるようになることです。
自由研究では、自分で研究計画を立て、研究の状況に応じて計画を修正しながら進めていきます。失敗することや行き詰ることもあります。そうした時、皆さんならどうしますか。「自分は何を調べようとしていたのか」と自分自身に問いかけ、その原点を確認することでしょう。
自由研究に取り組むことは、自分自身を知ることにつながります。そして試行錯誤を繰り返しながら自分に合った内容とやり方、進め方を探り出すことができるようになります。
こうした取り組みは「自由進度学習」と呼ばれるものと同じものです。
自由研究は夏休みにだけ取り組むものではありません。
自由研究の進め方は、国語、算数、理科、社会はもとより、英語や音楽、図工、体育、家庭、宗教などすべての科目において応用することができますが、より重要なことは、授業で学んだことをふまえ、科目の枠を越えた課題解決に向けてチャレンジしてみようとすることです。
毎日が自由研究です。
探究する力が身につくこと、まちがいありません。
これで校長先生のお話を終わります。
*高橋真生「自由研究とは? 進め方・やり方を押さえ子供の本質的学力を伸ばす」(https://allabout.co.jp/gm/gc/415554/)
ではまた 坂口満宏