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11月11日の全校朝礼 『星の王子さま』 ― その「あらすじ」と「名言」

24.11.12

11月11日(月)の全校朝礼でお話ししたことの一部を紹介します。

 

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皆さん、おはようございます。

今日は「秋の読書まつり」にちなんで、先日の放送朝礼で紹介した『星の王子さま』についてお話しします。

 

『星の王子さま』という本は、フランスの作家、サン=テグジュペリによって書かれた物語です。その出版は1943年ですが、今もなお世界中で読み継がれています。皆さんの中にも読んだことがあるというひともいることでしょう。

『星の王子さま』という本が、なぜ多くの人に読まれているのでしょうか、どこにそれだけの魅力があるのでしょうか。こうしたことについて、校長先生なりの考えを2回に分けてお話ししたいと思います。まずは「あらすじ」を紹介します。目を閉じて聞いてみてください。

 

物語は、画家になることをあきらめて、飛行機のパイロットになった「ぼく」の語りから始まります。 ある日、飛行機が故障し、サハラ砂漠に不時着します。翌朝、見知らぬ少年から突然「ヒツジの絵を描いて」と起こされます。その少年は遠い星から地球にやってきたというのです。それが星の王子さまでした。

 

 王子さまが暮らしていた星にある日、王子さまを困らせるバラが一輪咲きました。王子さまはとても大切に育てたのですが、そのバラは見栄っ張りでプライドが高いため面倒をみることができなくなりました。そして王子さまは、自分の星を離れ、他の星に旅立つことを決心しました。

 

 王子さまが訪れた星には臣民に命令する王様、うぬぼれ男、酒飲みのよっぱらい、数字ばかり数えているビジネスマン、街灯に明りをつける点灯夫、実際に探検することなく記録を取るだけの地理学者がいました。いずれも奇妙で愚かな行動をする大人たちでした。あきれてしまった王子さまは、7番目の星、地球に向かうことにします。

 

 地球にやってきた王子さまは、バラの花が何千本も咲いていることを知ってショックを覚えました。なぜなら王子さまは自分の星のバラは唯一無二のものだと思っていたからです。

 

 そうしたときにキツネが現れました。キツネは友だちになりたいのなら自分を飼い慣らしてくれといいました。そして友だちとなったキツネは、相手のために費やした時間の大切さを教えてくれました。それを聞いた王子さまは、自分の星にいたバラの花は自分にとって一番大切なものだったということに気づきます。

 

 キツネとのお別れの日がやってきました。キツネは王子さまに秘密を教えてあげるといいました。それが「一番大切なものは、目に見えないんだよ」という言葉でした。

 

 夜通し歩き続けたパイロットと王子さまは、砂漠の中で井戸を見つけます。そして王子さまは地球に来て一年が経つことを告げます。星へ帰るため、王子さまはヘビに自らを噛ませます。パイロットは王子さまの体を探しましたが見つかりませんでした。その後パイロットは飛行機を修理し無事飛び立ちます。夜空を見るたび、王子の笑顔や悲しみを感じ取ることで、彼との絆を実感するのでした――。以上が「あらすじ」でした。目を開けてください。いかがでしたか。

 

この物語が世界中で子どもから大人まで幅広く読み継がれていることの理由の一つは、この本が大人になるということ、愛するということ、友情や仕事をすることなど、人生の意味について考えさせてくれる作品となっているからだといえます。シンプルでありながら深いメッセージは、「名言」としてよく知られています。そのいくつかを紹介します。

 

●おとなも皆、昔は子どもだった。(そのことを憶えているおとなはすくないけどね)

――これは作者のサン=テグジュペリが、むかし子どもだったひとりの大人、親友のレオン・ヴェルトにささげた言葉です。

 

●ぼくの秘密を教えてあげるよ。とっても簡単なことなんだ。ものごとは、心で見なくてははっきり見えないんだ。一番大切なものは、目にみえないんだよ。

――友だちとなったキツネが別れるときに教えてくれた言葉でした。

      表面的なものにとらわれずに、その奥にあるものを、自分の感性や信念で見ることの大切さに気づかせてくれます。同時に子どもは心          でものごとを見ているのに、大人になるにつれて、その感覚を忘れてしまうことへの忠告であり、警鐘のようです。

 

●きみがバラのために費やした時間の分だけバラはきみにとって大事なんだ

――王子さまはバラのわがままに耐えられなくなって星を離れました。そして、地球にやってきたのですが、地球にはバラがたくさん咲い         ていました。そのことを知って悲しくなりましたが、王子さまは気づきました。何千本ものバラが咲いていても、自分の星に咲いたた          った一本のバラには到底かなわない、と。

           それに気づいた王子さまに対して、キツネが言った言葉がこの言葉でした。

 

この他にも『星の王子さま』にはさまざまな比喩やメタファー、本文を読んだだけではわからない謎の読み解きがあるようです。この点については次の全校集会で紹介したいと思います。

今回はここまでです。これで校長先生のお話を終わります。

 

〔参考文献〕『英語で読む星の王子さま』(IBCパブリッシング、2012年)

 

 

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ではまた                                                                                                                                                                                                 坂口満宏

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