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2025年3月17日 2024年度 第63回卒業式 校長式辞

25.03.17

2025年3月17日、2024年度第63回卒業式が挙行されました。

その時の「校長式辞」を掲載いたします。

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2024年度  第63回卒業式 校長式辞

 

寒さの中にも、一雨ごとに、春の息吹が感じられるようになりました。

第63回卒業証書授与式を挙行するにあたり、大谷範子名誉校長様、芝原玄記学園長様、竹安栄子京都女子大学学長様はじめ、多くのご来賓、保護者の皆様のご臨席を賜りましたこと、心よりお礼申し上げます。

 

本校を巣立つ74名の皆さん、卒業おめでとうございます。

皆さんに手渡された卒業証書は、この6年間、皆さんが、この附属小学校で一生懸命に頑張ってきた証しです。どうぞいつまでも大切にしてください。

 

ここで少し、皆さんの6年間を振り返ってみましょう。

 

皆さんは今から6年前の2019年4月に、今では小さく感じるランドセルを背負い、本校に入学してきました。育友会が発行している『さかみち』には、少し大きめの制服に身を包んだ皆さんの集合写真が掲載されていました。

 

2年生になった2020年は、新型コロナウイルスへの対応に追われた年となりました。そのため音読集会や運動会などの学校行事が制限されましたが、『さかみち』には「笑顔いっぱい なかよく過ごした1年間」として秋の稲刈りや芋ほりの写真、びわ湖バレーで「ハイ、チーズ!」とポーズをとった笑顔があふれていました。

 

3年生になった頃からは、感染対策と学校生活の両立を図ることが検討されるようになりましたので、時差登校しながらも、徐々に学校行事が再開されていきました。『さかみち』には「いつでもきらり」題して「久しぶりの体育館での仏参」という写真がありました。

 

4年生になると、春の遠足として小関越えの小旅行に出かけ、秋には林間学校としてアクトパル宇治での宿泊行事に参加しました。『さかみち』 には「大きくはばたけ〜附小のリーダーに向かって〜」というエールが掲げられていました。

 

5年生になるとマスクなしでの学校生活がはじまり、私立小学校連合会対抗のドッジボール大会にも参加しましたが、惜しくも準優勝となりました。秋には「話し合って創り出す 運動会」として旗を使った創作表現を披露していました。『さかみち』には「仲間とつながりあって」という見出しがついていました。

 

皆さんが6年生になった年に私が校長として着任しましたので、この1年間は、修学旅行に始まり、運動会、児童会、音楽会とほぼ全ての行事を通して皆さんと同じ時間と空間を共有することができました。そして休み時間にはグラウンドで思い思いにボール遊びをしながらも、自分より下の学年の子たちを気に掛け、思いやっている様子が見て取れました。

 

 

さて、この1年間、私は全校朝礼を通して皆さんに「探究することの楽しさ」「学びに向かう力の大切さ」についてお話ししてきましたので、附属小学校を巣立っていく皆さんへの花向けのことばとして、今一度、「生きた知識」についてのお話を贈りたいと思います。

 

皆さんはヘレン・ケラーという人を知っていますね。ヘレン・ケラーはしょう紅熱という病気にかかってしまったため、生後18か月で視覚と聴覚を失ってしまいました。しかしその後、人並み以上の努力で言葉を覚え、障がい者の教育や福祉の発展に尽力したことから「奇跡の人」と呼ばれるようになりました。

 

2歳足らずで失明し、耳が聞こえなくなってしまったため、ヘレンは全ての物や行為に名前があることを理解していませんでした。そのため、彼女の思い通りにいかないことがある時や、納得できないことが起こった時は泣き叫んだり、物を投げることでしか表現することができませんでした。

しかし、ある瞬間をきっかけに、一気に言葉を覚え、使えるようになったといいます。

 

それはヘレンの家庭教師であるサリバン先生がヘレンを井戸のそばに連れて行き、片方の手のひらに水を意味する「water」という単語を書き、その時もう一方の手のひらに冷たい水をかけたといいます。冷たい水に触れながら「water」という指文字を教わったとき、ヘレンは初めて、その「water」という文字が「手のひらに流れる冷たい液体」を意味することを理解し、存在する対象それぞれに異なる名前があることを悟ったというのです。

こうしてヘレン・ケラーは、現実世界と言葉を結びつける体験と認識を繰り返しながら、「生きた知識」として言葉を覚えていったといわれています。

 

今、皆さんの手元には卒業証書があります。当然、皆さんの知識の中には以前から「卒業証書」という単語とイメージがあったと思います。

ところが卒業証書授与式のリハーサルをしているときには、薄っぺらなコピー用紙を証書に見立て、受け取り方の練習をしましたので、「あれ、イメージしていたものとは違う」という戸惑いを抱いた人もいると思います。いわゆるスキーマとのギャップによる混乱です。

 

そうした混乱も、本日、正真正銘の卒業証書を二つの手で受け取ったことで解消されたことでしょう。なぜなら、あらかじめ持っていた知識と現実世界とが具体的に結びつき、「生きた知識」として皆さんの頭の中、からだの中にピタリと接地したからです。しかも皆さんが手にした卒業証書は特製のバインダーに収められていますので、皆さんが抱いていた「卒業証書」という単語とイメージには、厚みと重さも加わったといえるかもしれません。

こうして皆さんにとって「卒業証書」という言葉は、単に覚えた言葉ではなく、実際に使える言葉、すなわち「生きた知識」になっていると思います。

 

 

さあ、いよいよ4月からは中学生です。新しい出会いや中学校生活への期待にわくわくしている人もいるでしょう。逆に不安を感じている人もいるかもしれません。

でも大丈夫です。皆さんは一人ではありません。皆さんの周りにいる友達や家族、先生方が必ず見守ってくれています。皆さんが輝けるよう支えになってくれる人がいると言うことを忘れないでください。

同時に、皆さんがこうして立派に成長するまでには、多くの方々の支えがあったことを忘れず、感謝の気持ちを伝えられる人になって欲しいと思います。

 

最後になりましたが、保護者の皆さま、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。

卒業証書を手にする姿に、感慨もひとしおのことと思います。

私たち、教職員一同は、お子様の健やかな成長を願って精一杯、教育活動を行って参りました。行き届かぬところも多々あったかと思いますが、皆様のご協力、お力添えをいただきましたこと、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

これをもちまして、学校長としての式辞といたします。

 

2025(令和7)年3月17日

京都女子大学附属小学校  校長 坂口満宏

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