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皆さん、おはようございます。
4月の全校朝礼では、「いきものってなんだろう?」というお話をしました。
今日は、それに続けて、「食べるとはどういうことだろう?」ということを、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。
さて、先週から1年生も給食が始まりましたね。
みなさん、給食は楽しみですか?
今日の給食、何が出るか知っていますか? わくわくしますね。
ところで、附属小学校では、給食の前に「食前のことば」を唱えます。
1年生の皆さん、もう覚えましたか? こんな言葉です。
多くのいのちと、みなさまのおかげにより、このごちそうをめぐまれました。
深くご恩を喜び、ありがたくいただきます。
この「ごちそう」は、野菜やお米、お魚やお肉、
たまごや果物など、もともとはすべて生きていた“いのち”でした。
その“いのち”をいただくことで、わたしたちは元気に生きることができます。
つまり、「食べる」ということは、「ほかのいのちをもらって、自分が生きる」ということなんです。
そして「みなさまのおかげ」とありますね。
この「みなさま」って、だれのことでしょうか?
野菜やお米を育ててくれた人、魚をとってくれた人、運んでくれた人、料理してくれた人…。
たくさんの人たちが、みなさんの食事に関わってくれています。
その前には、雨、土、太陽といった、自然のめぐみもあります。
そう考えると、「食べること」は、自分ひとりだけでは、けっしてできないということがわかります。
実は、今日のお話のヒントになった本があります。
『食べるとはどういうことか』という本で、藤原辰史(ふじはら・たつし)先生という歴史学者が書いたものです。
藤原先生はこう言っています。
「食べる」というあたりまえのことを、じっくり考えてみる(哲学してみる)と、「人間ってなんだろう?」とか「生きるってどういうこと?」といった、もっと大きなことが見えてきます。
校長先生も、今日の給食をしっかり味わいながら、
「食べるってどういうことだろう?」と、心の中で考えてみようと思います。
みなさんも、いつも食べているごはんについて、
すこしだけ立ち止まって考えてみてください。
すると、いままで見えなかったものが、少しずつ見えてくるかもしれません。
そして、食べ終わったあとは、
尊いおめぐみをおいしくいただき、ますます御恩報謝につとめます。
おかげで、ごちそうさまでした。
と、心をこめて唱えましょう(合掌)。
これで、今日の校長先生のお話を終わります。
〔参考文献〕 藤原辰史『食べるとはどういうことか』(農文協、2019年)
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ではまた
坂口満宏