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20250901_『附小だより』9月号_海外交流元年――台湾・シンガポールの小学校との心に残る出会い(学校長のブログ)

25.09.03

『附小だより』9月号の巻頭言に「海外交流元年―台湾・シンガポールの小学校との心に残る出会い」を掲載しました。ここにその一部を再録します。

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海外交流元年―台湾・シンガポールの小学校との心に残る出会い

 

今年度、本校でもようやく海外の小学校との交流が始まりました。

まさに、文字通りの「海外交流元年」です。

6月には台湾から22名の小学生を迎え、7月には本校の児童20名がシンガポールの小学校を訪問しました。

どちらの交流も、子どもたちにとって忘れがたい貴重な体験となり、学校全体に新しい風を吹き込んでくれました。

 

■台湾の子どもたちと笑顔でつながった一日

台湾の児童(台北市国語実験国民小学)との交流は、1年生との「なべなべ底抜け」からスタート。初めは緊張していた台湾の子どもたちも、遊びを通して自然と笑顔が広がり、言葉の壁を越えて心が通い合う瞬間が生まれました。

その後は5年生の授業に参加し、音楽・理科・家庭科などを一緒に体験。給食も味わってもらいました。体育館での交流会では、台湾の児童が日本語でアニメソングを合唱し、本校の児童は演奏やダンスで歓迎しました。

互いの文化を尊重しながら、心を込めて表現し合う姿に、言葉を超えた友情の芽生えを感じたものです。

来年の3月には、本校の児童が台湾の小学校を訪問する予定です。

今度は“訪れる側”として、さらに深い学びと交流が待っています。

 

■シンガポールでの“バディ”との出会い

初の海外研修となったシンガポールでは、テマセク小学校を訪問しました。

図書室のホールでギター演奏による歓迎を受けたあと、本校の児童は校歌と聖歌「ありがとう」を披露。緊張の中にも感謝と親しみの気持ちを込めて歌う姿に、現地の児童たちから温かい拍手が送られました。

その後児童たちは“バディ”と呼ばれる現地児童とペアになり、英語で自己紹介。バディと一緒に教室へ入り、英語だけで進むイマージョン方式の授業に戸惑いながらも、少しずつ慣れて積極的に参加する姿が見られました。

特に印象的だったのは「リセスタイム(休憩時間)」です。

“カンティーン”と呼ばれる校内の食堂で軽食を取ったり、校庭で遊んだりする時間のことです。

本校の児童もバディと一緒にカンティーンへ向かい、初めての海外での買い物に挑戦しました。緊張とワクワクが入り混じる中、自分の思いを言葉で伝える難しさと楽しさを体験してくれたことと思います。研修の報告会が楽しみです。

 

■海外交流が育む「伝える力」と「自分自身を見つめ直す心」

では、こうした海外の小学校との交流には、どのような意義があるのでしょうか。ここでは、特に次の二つの点に注目してみたいと思います。

一つ目は、言葉の大切さ、そして外国語を学ぶことの意味を、実感として味わえることです。

「伝えたいのに伝えられない」――そんなもどかしさが、もっと言葉を知りたい、外国語を学びたいという気持ちを引き出します。言葉が通じたときの喜びは、子どもたちの学びの原動力となります。教科書だけでは得られない「生きた言葉」の力を、交流を通して肌で感じてほしいと願っています。

二つ目は、自分たちの生活を見つめ直すきっかけになることです。

異なる文化や価値観にふれることで、「違い」を恐れるのではなく、「違い」を面白がる心が育まれていきます。食文化、学校生活、言語、季節の行事などの違いを知ることで、多様性を尊重するまなざしが、少しずつ子どもたちの中に芽生えていきます。

さらに交流を進めていくと日本の歴史や文化、日常生活について尋ねられる場面も出てきます。そうした問いかけに応えるためには、自分たちの暮らしを改めて見つめ直し、客観的に言葉で説明する力も必要となります。これは、単なる知識のやりとりを超えたもので、自分自身との対話の始まりでもあります。

 

■安心・安全な交流活動を進めるために

海外との交流活動を進めるにあたって、児童の安心と安全を守ることは何よりも大切です。

事前に保護者の皆さまに活動内容をご説明し、ご理解とご協力をいただいたうえで実施しています。万が一に備えた対応マニュアルも整え、細心の注意を払って準備を進めています。

 

また、こうした交流を有意義なものにするためには、教員の実践力と柔軟な姿勢が欠かせません。異文化理解への深い知識を持ち、児童の疑問や不安に寄り添いながら、共に学びを進める姿勢が求められます。教員自身も学び続けることで、国際理解教育の担い手としての責任を果たしていきたいと思います。

 

■さいごに

今後も本校では、広い世界に目を向けながら、自分らしく、そして柔軟に異文化と向き合うことのできる子どもたちの育ちを、学校全体で大切にしていきます。

子どもたちが「違い」を怖れず、「つながり」を信じて歩いていけるように、私たち大人もまた、学び続ける存在でありたいと思います。

引き続き、保護者の皆さまの温かいご理解とご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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