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皆さん、おはようございます。
だんだんと秋らしい空気になってきましたね。
さて、今日10月27日は「秋の読書週間」の始まりの日です。
この機会に、校長先生のお気に入りの本を皆さんに紹介したいと思います。
先生方、どうぞご協力をお願いします。
紹介するのは、かこさとしさんが作られた「絵巻じたてのひろがるえほん」です。
さて、この絵本の題名、何だと思いますか?
そして、どれくらいの長さがあると思いますか?
この本のオリジナル版は、今から63年前の1962年に発行されました。
その頃の日本は、急速に発展していて、工場がたくさん建てられ、川にはゴミが捨てられていました。だから、かこさんはこう書いています。
「まちの ごみや きたない みずが ながれこんで、かわは すっかり よごれてしまいました」
どれくらい川が汚れていたと思いますか?
皆さんは、ジブリのアニメ『千と千尋の神隠し』を見たことがありますね。
たくさんの神様が油屋というお風呂屋さんにやってきましたが、その中に、泥まみれで悪臭を放つ神様がいました。覚えていますか?
そう、オクサレ様です。ポケモンでいえば、ベトベトンのような姿をした神様です。
千尋がオクサレ様の体に刺さっていたゴミを見つけ、油屋のみんなで引き抜くと、自転車、冷蔵庫、車のタイヤなど、川に不法投棄されたと思われる大量のゴミが溢れ出しました。
実はオクサレ様は、もともと名高い川の神様だったのです。
でも、人々が川にゴミを捨て続けたことで、美しい川はどぶ川になり、神様の姿も変わってしまったのです。
お風呂でゴミを取り除いてもらったオクサレ様は、気持ちよさそうに「よきかな」とつぶやき、すっきりした姿で油屋をあとにしました。
では、なぜ清らかな川の神様が、どろどろのオクサレ様になってしまったのでしょうか?
それは、人々が自分勝手に家庭のゴミや工場から出る汚れた水を川にたれ流していたからです。この状況を改善するために、政府は環境を守るための法律や規則を作り、工場も汚れた水を川に流さないよう努力を始めました。
地域でも家庭ゴミをきちんと処理する仕組みが整えられ、私たち一人ひとりがルールを守り、環境を守ろうという意識を高めてきました。
最初の絵本が作られてから50年以上が過ぎた2016年に、この絵巻じたての本が新しく作られました。そのとき、「かわは すっかり よごれていました」という文章が削除されたそうです。
なぜでしょうか?
それは、長年にわたって役所や工場の人たちが川をきれいにする努力を続け、私たちも自然を大切にする気持ちを育ててきたことで、日本の川が本来の美しい姿を取り戻してきたからです。
そのため、昔の状況を表す「かわは すっかり よごれていました」という言葉は、今の川の姿にはふさわしくないと判断され、削除されたのです。
学校でも、皆さんの行動は「流れ」のようにつながっています。
一人ひとりのよい行動がまわりに広がると、学校全体がよい雰囲気になります。
反対に、自分勝手なよくない行動が流れだしてしまうと、一気に広がってしまいます。
だからこそ、自分の行動に「責任」と「自覚」を持つことが大切になってきます。
授業中の態度もその一つです。
先生が話しているとき、仲間が発言しているとき、静かに聞く人が多ければ、授業はスムーズに進み、みんながよく理解できます。
でも、自分勝手におしゃべりをしたり、ふざけたりすると、話が聞こえなくなり、集中できなくなってしまうのではないでしょうか。校長先生が毎朝、皆さんの教室を見て回っているのも、皆さん一人ひとりの行動がどのようにつながり、流れているのか見せてもらうためです。
「責任」を持つとは、自分の行動にしっかりとした考えを持ち、最後までやりとげることです。
「自覚」を持つとは、自分が何をしているか、どんな役割を持っているかを意識することです。
先週、児童会役員の選挙がありましたね。
委員に選ばれた人たちは、「みんなの代表として、附属小学校をよくするためにがんばろう」と思って立ち上がってくれました。その思いを持って行動すること、それが「自覚」のある姿です。
自覚を持って行動することで、まわりの人も安心して協力し合えるようになります。
皆さん一人ひとりの行動は、小さなものかもしれません。
でも、その小さな行動が集まって、学校という大きな仲間、大きな流れを作っています。
それぞれが自分の役割を果たし、まわりのことを考えて行動すれば、学校はもっと楽しく、安全で、気持ちのよい場所になります。
このことは皆さんだけでなく、私たち教職員も心がける必要があります。
これからも、自分の行動がまわりにどんな影響を与えるのかを考えながら、責任と自覚を持って行動していきましょう。
一人ひとりの力が集まることで、学校はもっとあたたかく、笑顔にあふれる場所になります。
皆さんが毎日を大切に過ごしてくれていることに、心から感謝しています。
これからも、みんなの力を合わせて、すてきな学校をつくっていきましょう。
これで、校長先生のお話を終わります。
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ではまた
坂口満宏