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『附小だより』3月号「巻頭言」 心に火をともす出会い ― 子どもたちが本物から学ぶ一年(学校長のブログ)

26.03.02

時を刻む一年の歩み

正面玄関の柱時計には、ラテン語で Tempus fugit(時は飛ぶように過ぎる)と刻まれています。

振り返れば、この一年もまた本当にあっという間でした。

その中で子どもたちは、驚くほど多くの挑戦を重ね、友だちと支え合いながら一歩ずつ成長してきました。その歩みは、確かな「変化」として子どもたちの姿に刻まれています。

本校では今年度、学校改革の2年目として、地域の文化や伝統を生かした「ここでしかできない学び」「本物に触れる体験」を軸に、さまざまな実践を進めてまいりました。

 

学年ごとに広がった“本物との出会い”

低学年

1年生は、イタリア発のレッジョ・エミリア・アプローチを取り入れ、伝統工芸の端材を使った五感を働かせる探究に挑戦しました。

2年生は、京都国立博物館や三十三間堂を訪れ、地域の歴史に直接触れる体験を重ねました。

中学年

3年生は「東山たんけんマップ」を制作し、ハイアットリージェンシー京都に設置していただくなど、社会とつながる学びを経験しました。

4年生は、染色家・志村ふくみさんの精神を受け継ぐ志村宏さんの指導を受けて、藍の栽培から草木染による袱紗づくりまで、時間をかけて取り組みました。

高学年

5・6年生は本校の卒業生である陶芸家・清水六兵衛氏とその息子さんたちによるご指導のもと、抹茶碗づくりに挑戦。

6年生は、裏千家の関西宗志先生にご指導いただき、茶の湯の作法を学びました。そして完成した茶碗を使って保護者の皆さまをお招きし、感謝を伝えるお茶会を開きました。
自分の手でつくった器で思いを届ける姿は、子どもたちの成長を象徴する場面となりました。

 

学びは学校の外へ、世界へ

希望者を対象としたシンガポール研修や、台湾の小学校との交流も始まりました。

アフタースクールでも、いけばな、茶道、プログラミング、チアダンス、バスケットボールなど、多様な分野で「本物に触れる」体験を大切にしています。

国内外の多様な価値観や文化に触れる経験は、子どもたちが自分とは異なる視点を知り、自らの思考を広げる大切な種となります。

 

正解のない問いに挑む力を育てるために

こうした取り組みの根底には、子どもたちに「正解のない問いに挑む力」を育んでほしいという願いがあります。

そしてそのためには、私たち教師自身もまた、正解のない問いに向き合い続ける存在でありたいと考えています。

「間違えてもいい」「わからないと言ってもいい」という安心感があってこそ、子どもは表現する勇気を持ち、他者の言葉に耳を傾ける力を養います。その空気感をつくるのは、教材や設備ではなく、教師のまなざしや日々の姿勢そのものです。

 

教師が子どもと共に学ぶ「共学者」として実践を振り返り、関わり方を見つめ直していく。そうした小さな革新と意識改革を積み重ねてこそ、子どもたちが互いに響き合いながら成長する学びの場を創ると、私は確信しています。

 

心にともる火を未来へ

現在、副校長編集のもと本校の歩みをまとめた書籍『京女式 探究の授業 子どもの心に火をつける』(東洋館出版社)を制作しております。

完成の折には、ぜひお手に取っていただければ幸いです。

本物との出会いの中で、子どもたち一人ひとりの心にともった小さな火が、未来を照らす力となることを信じ、これからも歩みを進めてまいります。

 

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ではまた

坂口満宏

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